ミクリミトロポリVIII -----獣已行(じゅうすでにいく)-----

2000年11月23日〜 26日 東京・中野「中野区立もみじ山文化センター(なかのZERO)展示ギャラリー」

「獣已行」。それはヤマシタが高校生の時分に発表した漫画の、最後のコマに書かれた言葉である(本来は中国の故事にあるフレーズのようだが、詳細は不明)。世紀末も押し詰まり、20世紀最後のミクリ。地球滅亡説・Y2K問題と何かと緊張感のあった1999年が過ぎ、「猛り狂う獣は既に行ってしまったことよ。安堵すれどもその行く先は見えず、ただ茫洋と新世紀が目前に広がるばかりだ」と詠嘆する、2000年のミクリである。若きヤマシタの作品は、奇しくも2000年を生きる我々のハートにぴったりマッチしたのであった。

そうはいっても、作品内容は相変わらずのマイペースぶり。果たして展覧会ごとのサブタイトルって、わざわざつける意味あるのか?と自分たちにつっこみたくもなる。

さて、今回もささやかな共同制作を試みた。”ある言葉に対する、各人各様の勝手なイメージづけ”については、ミクリ内でも以前から注目しているところだが、今回は「閑古鳥」という単語を取り上げ、各メンバーの閑古鳥イメージを形にしてみた。あなたの「閑古鳥」はどのタイプ?
クツザワは小品ながら質の高い6連作を発表、絵画作家としての活動の充実ぶりを見せた。モトミヤは、今回「脳」がテーマ。一種異様なモチーフをポップにまとめ上げるセンスが冴える。ヤマシタは、2年ぶりのアクリル画。見る者に底知れぬ不安を与える”戦慄絵画”として圧倒的な存在感を示した。カワハラは、初の自前撮影・現像・焼き付け作品を含む写真作品群を発表。

宣伝ハガキ用の写真もカワハラが担当し、あるお客様から「この世のものとは思えない物語/捨ててあるサビたクギの世界」との衝撃的(??)コメントをいただいた。この言葉は、ちんまり地味な割になんか不穏、というミクリのカラーを鋭く言い当ててくださっているようにも思え、印象深かった。恐らく21世紀もこんな感じのミクリだ。

<カワハラ>

micri00.jpg  「ミクリミトロポリVIII 獣已行」カワハラ作(2000)


**出展作品**

 

 00kankotop.jpg 共同制作

 

 
イメージの創痍シリーズその1−閑古鳥(2000:紙・糸)
 
 

 00kktop.jpg カワハラ

 

トタン(2000:写真を単色コピー 245×360mm)
どうぶつ(2000:カビネ版)
サイン(2000:カビネ版)
町が老いることについて(2000:カビネ版 サービス版)
(2000:カビネ版 サービス版)
スナッピングポインツ2000(2000:)
 
 

 00kttop.jpg クツザワ

 

Still 1(2000:油彩 F10)
Still 2(2000:油彩 F10)
Still 3(2000:油彩 F12)
Still 4(2000:油彩 F12)
Still 5(2000:油彩 F12)
Still 6(2000:油彩 F12)
 
 

 00mktop.jpg モトミヤ

 

脳エリマキ(2000:襟巻き・ハギレ 1260×190×80mm)
走る脳(2000:リモコンカー・ハギレ 210×195×78mm)
脳占い(2000:木材・バネ・ビー玉 210×320×100mm)
走る脳天気(2000:)
 
 

 00yktop.jpg ヤマシタ

 

バーミリオン(2000:グアッシュ F30)
ウルトラマリン(2000:グアッシュ オーバンド#14,#18 F30)
ほぼジェッソ(2000:ジェッソ他 F30)

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