「ぴあ」1996/11/26号 No.681
「YouとPia 読者のお便り」より

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何かの暗示のような気がしました

先日、JR高田馬場駅近くを通りかかったら、洋館と少女のコントラストが美しいモノクロのポスターに目が行きました。そこは小さな「麦」というギャラリーで、写真を中心とした展示会を開催していました。そのまま去ってしまおうかと思ったのですが、見てみたい気持ちの方が強く、中へ入ってしまいました。
白い柱と黒い服の少女が浮き上がって見えた写真は、「それで岸に戻る」と題されていました。この他に数点の写真、数枚の絵、工作品がありました。その中の工作品にはいくつかに魅せられました。「玉ころがし機」「東京タワー」です。無数の小さな柱の上をひとつのビー玉がリレーされていき、最上段で下段に落とされるという「玉ころがし機」、その幾何学風の組み立てに、まるで小都市の縮小盤を見る気がしました。その隣りに置かれた「東京タワー」は、小さなパイプストローを組み合わせて見事にタワーを形成しているものの、底のスイッチを押した途端、一瞬のうちに無残にも解体されるという作品です。また、スイッチを押すと何事も無かったかのように復元されるのです。
作者の説明を聞きながら見ていると、我々の生活やら仕事やらが、もしかしたら気付かないようなもろさの上に乗っているだけなのかも知れないと思いました。(後略)

[(品川区/石田和典 40歳・自営業)]

***石田様、ご来場ありがとうございました***


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